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1、ニュースでよみがえった思い出
最近、池袋駅の地下道で、20代の女性ふたりに、わざとぶつかった(ラリアットしたり膝蹴りしたりした)公認会計士が逮捕された、というニュースを見た。
※日テレニュース
https://news.yahoo.co.jp/articles/776ff96518d1f9d424457671e0ceb0ab81f323a2
このニュースを見て、もう10年近く前になると思うのだけれど、自分も新宿駅でおじちゃんにぶつかられたときのことを思い出した。京王線に乗り換えるためJR線のホームから階段を降りていたら、背後から立て続けに三度、ぶつかってこられたのだ。
フォーマルな恰好ではないほろ酔いのおじちゃんで〈定年退職した直後くらいの方かな?〉という印象を受けた。
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2、ぶつかる人の心理
あれ以来、折に触れて思い出し、ずっとモヤモヤしていた。
そして今回のニュースをきっかけに、わざとぶつかる人の心理が知りたくなった。
そうしたら、ネット上ではすでにもうけっこう考察されていて、わざとぶつかっていたと思われる人のつぶやきもあったりするらしい。
それによると、日ごろの仕事上のうっ憤を晴らすため、自分よりも立場が弱く、逆らってこなさそうな人を狙ってぶつかり、「征服感」を感じたいからぶつかっていたのだという(※1)。
でも、フリーライターの吉川ばんびさんは、こうした快楽をもとめてのぶつかり行為を、正当にも次のように一刀両断している。
「『不特定多数(ただし女性や子どもなど、自分より力が弱いものに限る)の人間に対して暴力を与える』という点に関しては、ほとんど通り魔と一緒ですからね。」(※2)
私も吉川ばんびさんと同感である。自分がぶつかられたときのことを思い出してみても、本当に腹立たしい。
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3、優越感でぶつかられた?
ただ、私にぶつかってきたおじちゃんは、どうやら征服感ではなく、優越感でぶつかってきたのではないか、と思えるのだ。
1回目、2回目と、階段を降りながらぶつかってきて、さすがに3回目で堪忍袋の緒が切れて、肩越しに後ろへグイと押し上げた。
そうしたら「なんでそんなことするんだ!」みたいにおじちゃんが絡んできた。
頭に来ていた私は「わざと押してたじゃないですか、恥ずかしくないんですか!」と返した。
すると、おじちゃんは、蔑むような目でこちらを見て、こう言い放ったのだ。
「な~んだ、そういう対応しかできないんだ。」
そして、ぶつぶつ文句を言いながら、違う方向に行ってしまった。
その時は怒り心頭だったのだけれど、自宅に戻ってからおじちゃんの言葉がグルグルと頭のなかをまわって離れなくなった。そして、得られた予想はこうだ。
〈あのおじちゃんは、もしかしたら、どこかの会社のお偉方ような立場だったんじゃないかな? だから、わざとぶつかってみて、この若造がどんな反応をするか、試してみようと思ったのでは?〉
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4、わざとぶつかる人、いますぐやめてほしい。
だから、あのときのおじちゃんは、目の前の若造を見下す優越感を得るために、ぶつかってきたのではないか、と今では思うのだ。
だから、もし同じおじちゃんと再会したら(もちろん顔はまったく覚えていないのだけれど)、今度はこう言ってみよう。
「私がよけたら、おじちゃん階段を転げ落ちちゃうんで、グイと押してあげただけですよ。なに言ってるんスか~! そんな何度もぶつかってきて、私と一杯やりたいんですか?」
そうやって、優越感の鼻をへし折ってやろう!
でも、こんなこどもじみたことを考えていられるのは、私が中年のオッサンだからであって、池袋で被害に遭わられた女性は、とても怖かったに違いない。
だから、わざとぶつかる人たちに言いたい。
征服感だろうと優越感だろうと、もう絶対に関係ない人を巻き込んじゃいけない!
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【注】
(※1)『Shirabeeリサーチ』2018年5月10日記事「街や駅で見かける『わざとぶつかる人』その理由に衝撃走る」
https://sirabee.com/2018/05/10/20161619307/
(※2)『文春オンライン』2018年12月21日記事「女性ばかりを狙う『ぶつかりおじさん』は、ストレス社会が生んだモンスターか?」