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1、血液検査
79年前、広島へ原子爆弾の落とされた日の8月6日。手術から1年の、定期的な血液検査を受けました。
「問題なし」と主治医の先生に言われて終わるだろうと勝手に思っていました。ところが、診察室に入り挨拶して着座した直後、思いがけず、先生に「お酒、けっこう飲まれましたか?」と訊ねられました。
昨年12月の教授会で、個人的に精神的なショックを受けることが起きました。それ以降、恥ずかしながらお酒がないと眠れない精神状態に陥ってしまいました。何もしないと、頭がぐるぐる回って、本当に朝になっていたのです。なので、3か月ほど、缶ビールを1日2~3本飲む日が続きました。
けれども、春先に〈あまり考えないことにしよう!〉と思いなおして以降は、飲んだとしても1日1~2本で終わっていました。
そのような飲酒状況を正直にお伝えしたところ、「それくらいの酒量でこの値になるかな~」と先生が首をかしげてしまわれるくらい、腫瘍マーカーの値が高く、同時に、肝機能の値が悪くなっていると告げられたのです。
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2、心の支え
私が昨年がんになった部位は、大腸です。大腸がんは、肝臓や肺に転移しやすいので、先生によってすぐ、検査室の空きがある一番早い日にCT検査が組まれました。
〈ああ、やってしまった。いくら精神的に参ったからといっても、お酒に頼ったらいけなかったんだ~〉
〈転移していたらどうしよう? 今度こそ、復活は難しいかもしれない〉
〈まだ子育て真っ最中なのに、私が死んでしまったらK子さんに申し訳ない〉
帰路、心のなかで、いろんな感情が湧いては消えていきました。
そんなとき、心の支えになってくれるのは、やはり家族です!
K子さんやこどもたちとの何気ない会話や笑顔が励みになりました。そして時にメールや電話で届く、父や妹からの励ましの言葉も嬉しかったです。
実はもうひとつ、心の支えがありました。それは「エガちゃんねる」の動画です。
エガチャンネルとは、コンプライアンスが厳しくなって(?)レギュラー出演のTV番組がひとつもなくなってしまったお笑い芸人・江頭2:50さんと仲間のみなさんが、2020年の初頭に立ち上げられたYoutube専門チャンネルです。
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3、エガちゃんねるとの出会い
昨年の8月。まだ傷跡が痛くて普通に歩けない状態のまま退院した頃、こう思いました。
〈がん細胞をやっつけるNK細胞(ナチュラルキラー細胞)を体内で増やすには、笑うしかない!〉
じゃあ、どうすればいいのだろう? そう思っているとき、ふとYoutubeを開いたら、冒頭に、なぜかエガちゃんねるの動画があがっていたのです。
実は、エガちゃんねるの存在は知っていました。代々木アニメーション学院の入学式での、江頭2:50さんの挨拶が話題になっているとき、動画を見たことがあったからです。でも、普段は、音楽の動画や、農山村に移住された方のチャンネルくらいしか見ていなかったので、なぜエガチャンネルの動画が冒頭にきていたのか、今でも謎なのですが、笑いを求めていた私は、なんとなく動画を開きました。それは、江頭2:50さんが、マナー講師の平林先生にフランス料理の食べ方を教わる動画でした。
そして、おなかの底から笑い転げました!
〈ああ、これだ!〉
そう思った私は、K子さんから小言を言われながらも、空いた時間を使って、エガちゃんねるの始まった2020年の最初の動画から、順番に見ていきました。最新の配信動画に追いついた頃にはもう、11月になっていました(笑)
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4、エガフェス
エガちゃんねるの動画を追っていくなかで、悔しいな~と思ったことがあります。それは、2022年に第1回が開催された、音楽とお笑いを融合させた「エガフェス」を、どうしても見られない!という現実です。
2022年当時の段階で、チケットを購入するために応募し、抽選に当たって会場に行くか、ライブ配信チケットまたは見逃し配信チケットを購入するか、どちらかでない限り、けっして触れることのできない、伝説のライブ・・・。
何とか見たいな~と思っていたところ、なんと、そのフェスの第2回が、今年の夏に開催されることになったのです!
ただ、私は、家族の都合により、開催日を含め帰省期間中で、リアルタイムで見ることができませんでした。そこで、見逃し配信チケットを購入したのです。
8月17日の前夜祭、18日の大本番、どちらも、私自身、笑いあり、涙ありで、伝説に触れることができました。何度も見ました。
〈やったー! 今回は伝説に触れることができたぞ~!〉
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5、心に残った言葉
エガフェスでは、勝手に自分が素晴らしいと思っている出会いがありました。それは、ロックバンドのサンボマスターとの出会いです。サンボマスターの存在は、エガちゃんねるで、江頭2:50さんが出演交渉している動画を見て、初めて知りました。
ボーカルの山口さんは、曲にのせて、ラブ&ピース、一人一人が花束だ、全員優勝だ、みんな辛いことがあっても今日のことを忘れないで、また会おうよ、というメッセージを発信され続けました。正直、音楽を聴いてこんなに魂が震える体験は、二度目でした(一度目はテノール歌手の米澤傑先生の美声を拝聴したときです)。
そんな、伝説の演奏のなかでも、とくに刺さった山口さんの言葉があります。
「次に会う時まで、勝手に死んでんじゃねーぞコノヤロー!」
辛くて死にたくなっても、また会えると信じていこうよ、というメッセージのなかで発せられたこの言葉に、CT検査、その結果がどうなっているかわからない不安のなかにいた私は、いつのまにか涙腺が決壊していました・・・。
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6、エガフェス、ロス
不安にさいなまれた夜は、サンボマスターの演奏の部分だけみることもありました。そして、元気をもらっていました。
でも、当たり前だけど、見逃し配信には期限があります。
おとといの夜、23時59分59秒に、もういったい何度目の視聴かわからないサンボマスターの演奏を見ていたのですが、その3曲目が終わる直前で、ついに、ブツッと画面が黒くなってしまいました・・・。
〈ああ、もう、サンボマスターのあの言葉は聴けないんだ・・・。〉
そう思って悲しくなってしまった私は、この夏に発売されたけれども、家計が厳しくて、K子さんとの話し合いで購入を見送っていたエガフェス2022のDVDを、すぐさま購入したのでした・・・。
届くのは待ち遠しい、でも届いたらバレちゃう・・・どうしよう・・・笑
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7、検査結果
ちなみに、CT検査の結果を訊きに行った先週の火曜日。ドキドキしながら診察室に入った私に先生から告げられた言葉は・・・
「結論から言うと、問題なしです。」
よかった~! お酒を完全に断って、糖質と炭水化物の接種もほぼゼロにしてCT検査に臨んだ甲斐があった~!
先生によると、腫瘍マーカーの値が高くても問題が見当たらない人は、一定数いるらしく、がんサバイバーの私もその部類になったのかも、ということでした。
エガフェスは、たしかに、この間の私の不安な気持ちを抑えてくれていました。いつになるかわからないDVDの発売日まで、当面のあいだは見られず、悲しいけど、販売されたら絶対に買います!
江頭2:50さんはじめ出演者のみなさま、スタッフのみなさま、会場で声援を送られていたあたおかのみなさま、伝説の夜をありがとうございました!