◆ネットカフェが営業自粛の対象に!
出勤前。洗濯物を干しながら「グッドモーニング」(テレビ朝日)を見るのが日課になっている。今朝は、非常事態宣言が出された場合、どういう業種のお店が営業の自粛を要請されるか、説明されていた。
それを見て、愕然とした。ネットカフェが、営業の自粛を要請される業種のひとつになっていたのだ。
家族の誰かが洗濯物と一緒に入れてしまったティッシュのかすを、パンパンはたいて取りながら、〈これは大変なことになる〉と思わずにはいられなかった。
◆初めて聞いた「ネットカフェ難民」という言葉
日本テレビの番組「NNNドキュメント」で「ネットカフェ難民」のカズオさん(仮名)を追ったドキュメントが放送された。2007年ごろだったと思う。
カズオさんは、生まれ育った土地でドライバーとして働いていた。しかし、会社が倒産。仕事を求めて上京する。でも、年齢がネックになって、正規の仕事がなかなか見つからない。
非正規での仕事でなんとか暮らしていたけど、収入が安定しない。非正規雇用だと、出勤日を減らされたり、病気で働けなかったりしただけで、たちまち生活は苦しくなる。カズオさんも同じような状況に陥り、家賃を滞納したアパートから追い出された。日々の稼ぎをネットカフェの宿泊料金に充てる生活になった。しかし、日雇い派遣でのアルバイトが数日無いだけで、ネットカフェに泊まるお金もなくなっていく。
カズオさんのような人たちが、すでにたくさんいるこの国は、かなりの格差社会ではないのか。それが、番組ディレクターの水島宏明さん(現法政大学教授)からのメッセージだった。
そんな現実を知らなかった私は、衝撃を受けた。格差社会の是正も、2009年の民主党政権誕生につながるひとつのイシューだった。
◆ネットカフェに泊まる人たちの居場所は?
しかし、民主党政権は、福島原発事故への対応と、マニフェストを反故にする消費増税の三党合意により自爆した。格差社会は、ますますひどくなった。2014年11月には、非正規雇用労働者の数が2000万人を突破した。
そのころにはもう、ほとんど報道されなくなってしまっていたけれど、ホームレスになるかどうかギリギリのところで、ネットカフェに寝泊まりしている人たちは、今でもたくさんいる。それなのに、政府の要請でネットカフェが営業を自粛したら、みんなどうなってしまうのだろう?
24時間営業のファーストフード店は、非常事態宣言を受けて時短営業になると予想される。
民間のシェルターも、新型コロナウイルスが蔓延したら閉所せざるを得なくなるだろう。
日曜日の「サンデーモーニング」では、アメリカの保護施設が新型コロナウイルスの蔓延により閉鎖され、ホームレスの人たちの行き場がなくなったと報道していた。
◆どうか、手当てを!
では、お前は何か貢献しているのか、と問われれば、返す言葉もない。
私がこれまでしてきたことと言えば、町のなかで帰る家がなく困っているおじちゃんに、夕食を買って渡すことくらいだった。子どもが大きくなるにつれ、時間的にも金銭的にも余裕がなくなり、そんな簡単なことすら、いつしかやらなくなっていた。
そんな私の言い訳にすぎないのだけれど、やっぱり、ひとりでできることは限られていると思う。
でも、だからこそ、こういう時こそ助け合うための、最大のコミュニティとして存在しているのが国家なんだとも思う。
政府には、どうか、今回の宣言で苦境に立たされる、こうした方たちへの手当ても考えてほしい。
そのためにも、マスメディアには、ネットカフェも営業自粛の部類に入るという情報だけでなく、それによって影響を被りかねない人たちの声もすくい上げ、視聴者に届けてほしい。
どうか、この願い、届きますように・・・。