令和2年7月豪雨により被災された皆様に心よりお見舞い申し上げますとともに、お亡くなりになられた皆様のご冥福をお祈り申し上げます。
◆21世紀になって増えた豪雨災害
熊本県を襲った「令和2年7月豪雨」。被災地の状況をテレビで見ると、いたたまれない気持ちになる。毎年のように発生している豪雨災害。この時期になると、被災地のニュースを見るのがつらく、悲しい。
いま、仕事の関係で「気候変動」が特集されている『現代思想』2020年3月号を読んでいる。「「平成」の日本気象行政」という論考で、執筆者の若林悠さんは、気象庁が豪雨と定めた災害が、1990年代は1件、2000年代は6件、2010年代は6件あった事実に言及されている。知らなかった。しかも、2006年が豪雪で、2004年と2006年に豪雨が2件ずつ集中している2000年代とは違い、2010年代は、ほぼ毎年のように豪雨災害が起こっているらしい。その事実をふまえ、若林さんは「二〇一〇年代は「豪雨被害が多かった」と回顧する一つの根拠にはなり得よう」と指摘されている(45頁)。
◆8・6水害
1990年代は豪雨災害が1件・・・。そう書かれているのを見て、それが1993年の「8・6水害」だとすぐに分かった。私が中学3年生のとき、鹿児島を襲った豪雨災害である。気象庁のホームページで正式名称を調べたら「平成5年8月豪雨」というらしいのだけれど、鹿児島では「8・6水害」のほうが伝わりやすい。
この年は、とうとう梅雨が明けなかった。鹿児島は長い雨に打たれ、8月1日も豪雨災害があった。それからまだ5日しか経っていない8月6日。ものすごい豪雨が襲ってきた。
いたるところで川が氾濫。床上浸水。道路の冠水、陥没の報も舞い込んでくる。竜ヶ水の崖が崩れ電車を飲み込んだという速報・・・。ニュース特番を見ながら、どこにも逃げ場がないという恐怖にかられたのを思い出す。
◆祈り
「平成5年8月豪雨」では、鹿児島全域で48人もの尊い命が奪われてしまった。また、まだおひとりが行方不明のままである。球磨川流域の水害でも、多くの方の尊い命が奪われてしまった。
「8・6水害」は、強い雨が降り続き、〈どうか災害が起きないまま梅雨が明けますように〉と誰もが思っていたところに豪雨が襲い、発生した。あのときの恐怖を思い出すと、〈どうか、もうこれ以上、被災地に豪雨が襲ってきませんように〉と祈らずにはいられない。