2019年7月某日。とある授業の開始前、「先生、『天気の子』の新海監督と、なにか関係があるんですか?」とMくんから質問を受けた。
天気の子? 新海監督? 恥ずかしながら流行に疎い私は、Mくんが何を言っているのかさっぱり理解できなかった。そこで、恐る恐る「『天気の子』って何だっけ?」と訊くと、Mくんは「いま公開中の映画なんですけど、そのなかで環境哲学研究室が出てるらしいんですよ」と教えてくれた。
さらによくよく話を聞くと、新海誠監督作品の『天気の子』という公開中の映画のなかで、主人公の選んだ進学先が東京農工大学で、しかも環境哲学研究室だとSNS上でもっぱら噂になっているらしいのだ。私が環境哲学研究室の教員だから、学生のみなさんも気になっていたご様子。
「いや、とくになにも取材とかは受けていないよ。」
そう応じつつ、私の心の中では、〈早く映画を観にいって確認しないと!〉というミーハーな気持ちがどんどん高まっていった。
それからほどなくして、我が家のこどもたちと一緒に住んでいるまちの映画館へ。かなりアクロバティックな展開で、ハラハラドキドキしながらスクリーンを見守っていた。
家出をし、東京でいろいろ派手にやらかし、実家のある伊豆諸島の神津島に戻された主人公の森嶋帆高くん。映画の終盤、みごと大学受験に合格し、進学のため再度上京してきたシーンで、新生活を開始するアパートの机の上に、東京農工大学のパンフレットがたしかに開いて置かれていた。その文面に環境哲学と関係する「アントロポセン(人新世)」という文言が出ていたのもわかった。でも、帆高くんが本当に環境哲学研究室を志望しているのかどうかは、最後までわからなかった。
このままではいけない。2週間後、噂の真相を確かめるべく、またまたこどもたちと映画館へ。けれど、2回目の鑑賞でも、環境哲学研究室という文字は確認できなかった。
あとでYahoo検索して知ったのだけれど、「大葉せんせいの雑記ゼミ」というブログで、ブログ主の大葉せんせいが、『天気の子』の感想を記した「【新海誠作品】映画『天気の子』を今すぐ観にいくべき7つの理由【感想と考察】」というテーマで環境哲学研究室ホームページの文章を引用くださっていた。なるほど。大葉せんせいが拙研究室をご紹介くださったのがきっかけとなり、ツイート上でいろんな方たちがやりとりを繰り広げるなかで、次第に話がふくらみ、「帆高くんの進学先は東京農工大学の環境哲学研究室らしい」という噂になっていったのかもしれないな、とこのとき気付いた。
気持ちが高ぶっていただけに、環境哲学研究室という名前に直接ふれられなかったのは残念だったけれど、映画はとても面白く、いろいろと考えさせられた。
そのためか、新海監督が取り上げてくださった大学の一教員として、映画を観て考えたことを書き記したいという思いが頭をもたげつつも、忙しくてなかなかできずにいた。でも、少しだけ余裕のある春休みのこの時期に、思い切って、いままで敬遠し続け、一度も使った経験のなかったSNSに手を出し、ブログを始めてみることにした。
このブログの『天気の子』鑑賞記という記事は、ほとんどが映画内容のネタバレを含みますので、鑑賞なさっていない方はご注意ください!
天気の子の話題をかぎつけたどり着きまして、最近の投稿も拝読いたしました。お忙しいとは思いますがお体大事になさってください。
ブログの内容とは直接関係しないのですが、帆高くんの字が政治家の丸山穂高さんになっていますよ笑
すし様
本ブログへの初のコメント、誠にありがとうございます。
そして、たいへん重要なご指摘をたまわり、感謝申し上げます。
やってはいけない間違いを犯していたことに、焦っております(汗)
順次、修正してまいりたいと思います。
この1週間、たいへんな忙しさで、コメントへの返信が遅くなってしまいました。
お許しください。
重ねて御礼申し上げます。