◆芸能人、スポーツ選手に相次ぐコロナ陽性反応
今日も、学術の世界と私たちの日常生活とが密接に関係しているのでは?という点について、昨日に引き続きコロナ禍の影響という視点から考えてみたい。
今朝見ていたニュースで、広瀬すずさんがコロナ陽性だとわかったが、症状はないと所属事務所から発表があったと伝えていた。
撮影の現場に入るみなさんを検査した結果だったのだという。
もうひとつ、コロナ関連で心配になるニュースが飛び込んできた。小学校3年生のときから応援している千葉ロッテマリーンズ(当初はロッテオリオンズ)の職員、コーチ、選手の多くが、コロナに感染していたというニュースである。でも、みなさん感染対策のルールを破っておらず、感染経路がどこかわからないのだという。
◆市中感染が拡がっている?
芸能人、スポーツ選手といった、おそらく通勤に満員電車などを使わないであろう方たちの多くが、無症状の陽性者になっているという現実。かつては、読売ジャイアンツの坂本選手もそうだったし、名だたる俳優さん方もそうだった。
おそらく、ハイヤーやマイカーで通勤している芸能人やスポーツ選手。それでも、感染経路不明の市中感染を防げない、という現実。
それに比べ、私たちの場合は、通勤、通学に満員電車を使わざるをえない。
むしろ、私たちのほうが、感染しやすい環境にあるといえる。
でも、現実の問題として、症状のない一般市民は、基本的に検査はしてもらえない。
だから、無症状の場合、感染していたとしても、確かめる術がない。手段がない。
◆陽性かどうか確かめるすべのない親としての不便さ
私ことで恐縮だけれど、この半年ほどの間、コロナが陽性かどうか確かめる手段のない不便さを、子育てをするなかで、嫌というほど味わってきた。
こどもたちは、この半年の間に、幾度となく喉痛や発熱を訴えてきた。
でも、かかりつけのクリニックでは、政策上、PCR検査がずっとできなかった。だから、発熱、喉痛というコロナの可能性のある症状があったとしても、味覚障害や嗅覚障害といった特段の症状がないかぎり、基本的には、先生もふつうの風邪と診断せざるを得ない。そういう日々だった。
でも、小さい子ほど、味覚を感じない、嗅覚がおかしいといった症状を、言葉にするのは難しい。だから、コロナの可能性があったとしても、風邪という先生の診断を信じ、すがるしかない。
でも、もし、自分のこどもがコロナだったとしたら、どうしよう? 症状が良くなって保育園や学校に通い始めたあと、周りの子に移してしまうかもしれない。通学中、電車の中で、大人にもうつしてしまうかもしれない。
こどもが体調を崩すたび、親としての、そういう葛藤を抱える日々が続いた。
◆検査しなくていい、という社会的圧力の結果・・・。
だから「検査しないくてもいいんだ」という社会の無言の圧力があるのは、よくわかる。
「無症状なのだったらいいじゃない、別に。」
「無症状なのに、陽性ってわかったら、みんなに迷惑かけるだけじゃん。職場、学校、保育園、幼稚園が休業してしまうわけだし。」
という声が上がるのも、理解できる。
だから、おかしいと感づいたとしても、問題視されないのだから、別に無理してPCRセンターに掛け合って検査する必要はない・・・。そういう判断にだってなる。
でも、そうやって感染疑いのまま放置したら、けっきょく、市中感染を防ぐことはできない。
その結果、影響を受けるのは、私たち自身である。
経済の傾きも、なかなか立て直せないままになってしまうだろうし、無症状のうちに、たいせつな人に感染させてしまうかもしれないのだから。
◆コロナと科学と日常生活
だから、一部の科学者は、愚直に言い続けてこられたのだと思う。
一刻も早く、誰もが検査できる体制を整えるべきだ、と。
広瀬すずさんの陽性反応のニュースと同時に、ジャニーズが全国知事会に、2億円分の検査キットを寄付したというニュースもあった。だけれど、芸能事務所に助けてもらっている場合なのだろうか。国が率先して、都道府県に、市町村に補助をし、誰もが検査を受けられる体制を築いていくべき時に来ているのではないだろうか。
検査を拡充しなければ、以前の日常生活を取り戻せないのだから(V6の坂本くんも、この点を指摘されていた)。そして、以前の日常生活を取り戻せなければ、いつまでたっても経済は上向かず、文化・芸術に当たり前のように触れることのできる日常も戻らない可能性が高いのだから。
ここからも、あらゆる科学的な意見からどれを採用するかによって、私たちの日常生活がいかに影響されるかという点が、よくわかる。
これから、私たちの社会の経済が好転するかどうかは、ある科学的な意見を採用した場合、その結果がどうなっていくかを見通す私たち主権者の想像力にかかっているのだと思う。