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1、人生で初めてのペットロス
モモちゃんがいなくなった、2019年の11月29日。
あの時の自分の狼狽ぶりは、いまでも脳裏に焼き付いている。
モモちゃんと楽しい毎日を過ごしたのは、ほんの1か月余りだったけれど、ひとつひとつの思い出が深すぎたのか、相当な心の傷を負っていたらしい。
いっときは、気づくと涙が勝手にあふれているような状態だった。
〈ああ、これがペットロスというものなんだろうな。〉
大切なペットを失った人の気持ちを、このとき、生まれて初めて知った。
◇◆◇◆◇
2、学生のやさしさ
モモちゃんがいなくなった金曜日は、昨年度まで、共生と環境を扱う2つの講義に加え、ゼミもある大忙しの日だった。
授業の冒頭では、最近あったことをネタに、いつも3分ほど話をしてきた。
このときは、モモちゃんを失って悲しい気持ちを、受講生に打ち明けた。
そうしたら、講義が終わったあと、授業を受けていたXさんが教卓のところまできて、
「インコの掲示板があるので調べてみます。落ち込まないでくださいね」
と励ましてくれた。
「ありがとう」と言いながら、目頭が熱くなっている自分がいた。
Xさんのやさしさが、悲しみでえぐられていた心に染み入った。
◇◆◇◆◇
3、迷い
後日、Xさんが掲示板のURLを送ってくれた。
いざ、掲示板を開くと、迷いが出てきた。
ほんとうなら、1日でも早くモモちゃんに会いたい。帰ってきてほしい。
でも、うちにはもう新しい家族のナナちゃんがいる。
もしも、モモちゃんを保護してくれた人がいたら、もうモモちゃんとの思い出ができているだろうから、悲しませることになってしまう。
どうしよう、どうしよう・・・。
結局、気持ちの整理がつかず、掲示板で呼びかけられないまま、時間は過ぎていった。
◇◆◇◆◇
4、気持ちの整理
そうして1年近くの時間が経った。ようやく、それでよかったのかも、と思うようになった。
モモちゃんにはのびのびと育ってほしかったので、昼間はいつもかごから出していた。
そんなモモちゃんだから、狭い家では飽き足らず、青空に飛び立ちたかったのかもしれない。
でもいまは、だれか優しい人のお宅で、のびのびと過ごしているに違いない。
自己満足にすぎないのだけれど、1年かけて、そう自分を納得させた。
(Xさん、せっかくの親切をふいにしてしまい、ほんとうにごめんなさい)
気持ちの整理がついた今、モモちゃんとの思い出を書き残しておかないと、忘れてしまいそうで怖くなった。だから、本当なら、動物を家族に迎え入れる資格など私にはないのかもしれないけれど、モモちゃんとの思い出を綴らずにはいられなかった。
モモちゃん、どこかで元気に暮らしているかい?
こんな私に、やさしさを教えてくれて、本当にありがとう!