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1、ナナちゃん
全身がきれいな黄色の羽根に覆われているナナちゃん。
K子さんは、モモちゃんが飛んで行ってしまったのを気にして、お店の人に頼み、羽根を刈り込んでもらっていた。
だから、ナナちゃんは、飛ぼうとしてもすぐ床に着地してしまう。
モモちゃんのような自由な飛行はできなかった。
まだ赤ちゃんだったこともあるし、ずっしりと重量級の重さがあったのも影響していたと思う。
しかもナナちゃんは、かなりおっとりした性格だった。
モモちゃんは、ひとりで居たいときは「嫌なものは嫌!」という感じで「ぎゃーぎゃーぎゃー!」と言いながらピューっと飛んで行ってしまうのだけれど、ナナちゃんは、手のひらから逃げるようなしぐさが全くなかった。いつまでも、てのひらにいてくれた。
だから、ナナちゃんはほどなく、こどもたちのアイドルになった。とくに長女のCちゃんは溺愛していた。
◇◆◇◆◇
2、ナナちゃんの命日
そうこうするうちに、年の瀬も押し迫り、とうとう大みそかになった。
こどもたちにとっては、年に1度だけの、夜更かしが許される日。
でも、「あけましておめでとう!」とあいさつしたらすぐ寝られるよう、お布団だけはもう敷いておくのが、我が家の習わしになっている。
そして、みんなでゴロゴロしながら見ていたTBSの人気番組『SASUKE』が終わったあと、ある事故が起きていた事実が発覚した。
ナナちゃんの様子を見ようとしたら、かごのなかで床に突っ伏してしまっている。
〈あれっ?〉と思い、「どうしたの?」と声をかけながら抱っこしたのだけれど、体が硬直している。
目にも生気がなく、心臓も動いていない・・・
「ナナちゃんが死んでる! なんで!?」
おもわず大声をあげずにはいられなかった。
◇◆◇◆◇
3、ナナちゃんの死因が判明
「みんな、なにか知らない?」
K子さんも、長男、二男も、何も知らない様子。
しかしCちゃんだけは「知らない」と言いながらも、何だか様子がおかしい。
「本当に何も知らないの?」と問い質していると、いきなり泣き出してしまった。
Cちゃんの説明に従い、時計の針を巻き戻してみると・・・。
年明けまであと1~2時間と押し迫っていたころ。Cちゃんは、いつものようにかごからナナちゃんを出して、一緒に遊んでいた。
でも、テレビに夢中になってしまい、ナナちゃんが近くにいるのを忘れてしまった。
そして、布団に寝そべった瞬間、ナナちゃんを圧死させてしまった。
それが、ナナちゃんの死の真相だった。
たいへんなことをしてしまったと気づいたCちゃんは、とっさに「怒られる!」と思い、みんなの目を盗んで、ナナちゃんの亡骸を、そっとかごにしまった。そして、私がそれに気づいたというわけである。
Cちゃんは、泣きじゃくりながら、ナナちゃんが死んでしまったいきさつを話してくれた。