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いろいろ立て込んでおりまして、農に関する記事は週末以降になりそうです。今日も、大切なインコと過ごした日々の記録の続きです。
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1、モモちゃんⅡ世とのふれあい
それからというもの、モモちゃんと私たち家族は、たくさんの思い出を育んでいった。
やけどの看病をしたのを覚えてくれているのか、家にいるときはよく私の部屋に飛んできて、肩にのって遊んでいた。肩の上が飽きると、机の上のキーボードに降りてきて歩き回ったり、本の上にのっていつの間にか寝てしまったりしていた。
そんなかわいいモモちゃんⅡ世の特徴といえば、よろこんで手のひらにのってくることだった。
掌にのってきたモモちゃんは、お腹の見える仰向けの体勢にしても、ぜんぜん嫌がらない。
そのまま首元をコチョコチョすると、気持ちよさそうに目をウットリさせる。
ただ、その体勢自体は辛いものらしく、1~2分もするとさすがに〈元に戻して~〉とムズムズしだすので、肩の上にのせる。
そんなふれあいの毎日が続いた。本当にかわいかった。
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2、Dくん、モモちゃんを踏みつける!
火傷の苦難を乗り越えたモモちゃんとの、そうした楽しい日々が3か月ほど過ぎた、4月13日の月曜日。この日を、私たち家族はけっして忘れることができないだろう。
新型コロナウイルスのもたらす影がますます濃くなり、私の住む府中市でも、この日からすべての保育園が全面的に休園となった。学校はすでに3月から休みだったから、子どもが4人とも家にいることになった。
でも、訪問看護師のK子さんは仕事を休むわけにはいかない。私が在宅勤務制度を利用し、こどもたちと過ごしつつ、仕事をこなすことになった。
4月13日はまさに、そうした生活の初日。押し入れから発掘された、20年以上前に買ったNintendo64(テレビゲーム)を子どもたちに渡すと、大喜びでセッティングを始めた。10分くらい一緒に過ごしたあと、Dくんも落ち着いているのをみて、仕事をするため自分の部屋に戻った。
それがいけなかった。
Dくんは、自分でもやりたいのだけれど、コントローラーがなかなかうまく動かせない。まだ2歳7か月児なのだから当然だ。それを見ていた兄のBくんが、よかれと思い一緒にやってあげようとする。でも、お兄ちゃんにコントローラーを取られたと勘違いしたDくんは、怒ってその場を立ち去り、リビングから台所、台所から玄関、そしてリビングへと家のなかを1周したらしい。
そして、そこには、床の上を楽しそうに歩いているモモちゃんがいた。
むしゃくしゃしていたDくんは、なんと、そのモモちゃんを、足で踏んづけてしまったのである!
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3、手のひらで
「ギャギャギャ!」
リビングから、モモちゃんの尋常ではない大声がした。
私が駆け付けたときには、物干しにかかっているタオルの上(ここならモモちゃんもなんとか立っていられる)に飛び上がっていた。しかし、すぐ落ちるように床の上へ転げ落ちてきた。
全てを目撃していた長男のAくんが、Dくんがムシャクシャして踏んづけてしまったのだと教えてくれた。
私は、モモちゃんを急いで手のひらにのせて、容体を確認。
肩で大きく息をしている。
「モモちゃんがんばって!」
また奇跡が起きてほしいと、体をさする。
そうするうち、だんだんと心拍音が掌で感じられるほど大きく、早くなってくる。
「モモちゃん、がんばって!」
みんなの掛け声もむなしく、鼓動はどんどん弱くなる。まぶたも重くなってくる。
そして、私の手の中で、モモちゃんは静かに息を引き取った。
「モモちゃん!」
本気で泣いた。新型コロナウイルスを、心の底から憎んだ。