~~~~~
1、GoToトラベルは感染を拡大させたのか?
Go toキャンペーンがコロナの感染拡大につながったのかどうか、意見が分かれているようだ。
私は以前、疫学調査をしなければ、関係はなかったと言い切るのはおかしい、と書いた。
そうした調査がない段階で「関係なかった」と言い切るジャーナリストは、私は信用できない。
それはともかくとして、そうした調査があればいいのにと切望していたところ、京都大学の「8割おじさん」こと西浦博教授が、Go toトラベルに参加した人たち4千人規模の追跡調査を行い、感染が拡大したという見解を国際医学誌に発表したという報道があった。
【参考】「『GoToトラベル』感染者拡大に影響か 京大の西浦教授らが分析」『東京新聞』2021年1月26日付朝刊
https://www.tokyo-np.co.jp/article/81968
もしこれが事実ならば、感染がおさまってからという閣議決定を反故にして開始されたGoToトラベルが、新型コロナウイルスの感染拡大につながったのであるから、第3波は人災だということになる。
◇◆◇◆◇
2、いざというときのために
ただ、GoToトラベルが原因かどうかの論争には関係なく、予想されていた冬の感染拡大にそなえ、海外で行われているような検査体制の拡充、病院から患者があふれたときの医療施設や療養施設の建築などをしておくべきだったのは間違いない。
弊ブログでも書いた通り、東京オリンピックの選手村を、そうした施設として利用すべきではないかという声もあった。
そもそも2類感染症であれば、感染者は隔離されなければならないと感染症法で定められている。行政には、その義務を果たす責務がある。そのような法の前提にあるのは、国民の生存権がまもられなければならない、という理念であり、それこそが国の責務である。
そして、私たちは、こうしたときの対策のために、常々税金を支払い、代わりに対策を立ててもらっている。
◇◆◇◆◇
3、コロナ禍のもとで軽んじられる生活といのち
でも、実際には、そうした対策は後回しにされ、どうやら利権を優先するために、GoToトラベルが前倒しで実施されたらしい(「利権」も戦中と共通する視点だけれど、それについては後日考えたい)。
その結果、感染症法をまもる努力は後回しにされ、療養施設も足りなくなり、自宅で療養しなければならなくなった人たちのなかで、容体が急変し亡くなる方が続出している。
また、政府の対応の失敗によって緊張状態が続き、多くの人が仕事を休んだり、失職したりしているにもかかわらず、そして非正規雇用の割合が多く、困難に直面している女性の自殺率が上がっているにもかかわらず、財務相は追加の給付金を支払うつもりはないのだという。
非常時なのに、この期に及んでなおもちだされる、プライマリーバランス! 一方で、第三次補正予算19兆円余のうち、7割余が、国土強靭化、GoToキャンペーン関連経費、行政デジタル化、脱炭素社会関連経費など、いまこの非常時に緊急性が高いとは思えない項目で埋めつくされている。
私たち国民の生活は、いのちは、どうなってもいいのだろうか?
私たちのいのちが、あまりにも軽んじられてはいないだろうか?