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1、まさか! 改憲が「必要だ」のパーセンテージが上がった!?
一昨日、デジャビュが起こった。コロナ対応のために憲法を改正する必要があるかどうかという共同通信の世論調査で、「必要だ」が57%、「必要ない」が42%だったという。
※『東京新聞』「コロナ対応へ改憲「必要」57% 共同通信世論調査」
https://www.tokyo-np.co.jp/article/101577
ちなみに、昨年は「必要だ」が51%、「必要ない」が47パーセントだった。
ちょうど1年前の今日。この数字でもショックで、スターウォーズをもとにいろいろ考えたのに、「必要だ」と思う人が増えている・・・!
なぜなのか、ちょっと理解に苦しんでいる。
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2、今朝の『羽鳥慎一モーニングショー』
ところがところが! 近年、憲法記念日であっても、憲法に一切触れないテレビの報道番組のほうが多い。コロナ禍への政策にたいしては常におかしい部分を指摘してきた『羽鳥慎一モーニングショー』ですら、憲法のニュースや特集は一切なし。
こんなに大事な世論調査の結果が、まったくふれられることなく終わってしまった。
それどころか、むしろ改憲が「必要だ」と思ってしまうような特集が、冒頭に組まれていた。神奈川県の封鎖されている河川敷などで行った、自粛警察かと見紛う突撃取材が紹介されたのである。
これをみたら、「こんな奴がいるとはけしからん、緊急事態宣言では生ぬるい、いまこそ非常時大権が必要だ!」と思ってしまう人が増えてしまうのではないか。こんな報道が方々で繰り返されてきてしまったからこそ、この1年で、憲法に緊急事態条項を入れるべきだという意見が増えてしまったのではないか? これって、作られた世論ではないか?
そう思えて仕方なかった。これが、憲法記念日の特集か・・・。心底がっかりした。
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3、スポットライトの副作用!?
そのような内容にたいし、コメンテーターの山口さんは、憲法の話とはまったく違う文脈だけれど、このような報道より追加もっと大事なことがあるのではないかとずばり言ってくれた。
「変異ウイルスというのは状況がずいぶん変わってきたな~とおもいつつ、やっぱり懸念するのは強いメッセージが上滑りするようになってきているんだとは思うんですね。緊急事態宣言が回を重ねるにつれて、人流への影響が小さくなってきていると、感染者数の増加もいまもうきかなくなってきている、かつコロナを検索する人が減っているっていう状況なんだと思うんですよ。だからやっぱり私たちは去年に追いつけ追い越せで、去年まだできてないこれはダメだっていうのも確かにそうなんですけれども、多くの人は自分たちなりの真面目さをもって、とくにいまこの状況でこうテレビの前に居てくださるみなさんとかそうだと思うんですけれども、まずはその人たちの心を折らないようにすること、他の人はこうやって遊んでますみたいな感じじゃなくて、みんなそれなりに多くの人はがんばっていて、でこれはちゃんと1年間続けている皆さん方はほんとにすごいよくやってらっしゃいますというところから始めなきゃいけない状況じゃないかな~というふうには思いますね。」
正鵠を射た意見だと思った。自粛警察報道は、恨みと分断を増幅するだけで何も生まないし、なにより、さっきも言ったように、改憲が必要だという「空気」を醸成してしまっているかもしれないのだから。
私たち人間は、ほんの少数の人しかしていない違反行為であっても、毎日毎日、大々的に同じ情報のシャワーを浴びせられ続けてしまうと、まるでそれが方々で起こっているかのような錯覚を起こしてしまう。
元TBSのキャスター下村健一さんは、このように視聴者が勘違いしてしまうありさまを「スポットライトの副作用」と呼んだ(※)。真面目な人ほど、スポットライトの副作用をテレビから受けてしまうのではないか。その結果が、改憲が「必要だ」という意見の6ポイント増加につながったのかもしれない・・・。
そんな気がして、こどもたちと近くの公園で遊んでいても、気分の晴れない一日だった。
(※)下村健一(2010)『マスコミは何を伝えないか――メディア社会の賢い生き方』岩波書店
(2021年5月4日13時過ぎ追加・修正)