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1,世界一位の死亡率
いま、大阪が、新型コロナウイルスの感染拡大で、たいへんな事態に陥っているらしい。
重症患者が入院できず、在宅で死亡する例も出ているというのだ。
しかも、札幌医大フロンティア研ゲノム医科学がWHOの情報を解析した結果によると、100万人当たりの死者数は、大阪に限ると世界で1位になってしまったのだという(日刊ゲンダイ)。
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/288909
療養を要請されたのち、クラスター感染が発生したために救急要請をしても、まったく入所者が入院できず、25人もの高齢者が亡くなった老健施設の職員が、苦しい胸の内を吐露されている(NHK)。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210508/k10013019201000.html
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2,もう、医療崩壊が始まっている。
その実態を伝える、NHKの井上紗綾記者の記事が、とても秀逸なルポだと思った。
これまで以上に感染力があり、抗体ができる前に重症化し、若年層でも死亡例がたくさん出る状況になっている。もしこれ以上、感染が拡大してしまったら、多くの人がいのちを落としかねない。
なのに、おおくのニュース番組やワイドショーでは、こうした現場の実態を報道してくれない。
それどころか、与党政治家だけを出演させ、一方的に政権のコロナ対策を擁護する発言を垂れ流す報道番組すらある。
でも、そんな忖度報道をするうちに、重症患者の多くが入院すらできず、救われたはずの命が失われていっている、という現実・・・。
こういう現状を前にして、キャスターが責任ある立場の人にたいし「それはおかしいのでは」と指摘できないのは、やはり、現場の悲痛な声を取材し、代弁する姿勢がないからなのではないか。
本当なら、批判すべき点はたくさんあるはず。1年半の間に有効な対策はほとんど講じられなかったし、検査に意味はないという言説が幅を利かして政府も検査抑制策を取ってきたのだし、医療危機を回避するのに有効な提言が与党から出てきたけれども潰されたわけだし・・・。潰した当人たちは、だれも責任を取らずに、のらりくらりと国会答弁を繰り返し、いまだに状況を悪化させているし・・・。
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3,オリンピック、ほんとうにやるの?
医療崩壊を回避しようにも、都市でも、地方でも、医師や看護師が足りない。
医療現場だけに努力を押し付けるやり方は、もう限界にきている。
にもかかわらず、政府は、オリンピックのために、看護師を500人、スポーツドクターを200人、かき集めようとし、首相はなんと、看護師の募集は可能だと言ってのけた。
すくなくとも、オリンピック前には医療従事者と高齢者のワクチン接種を終わらせると言っていた件なんか、もはや誰も触れなくなっている・・・と思ってたら、首相自身が、1日100万回接種を目指すという非現実的なことを言い始める始末・・・。
このような状況で、本当にオリンピックをやるつもりなのだろうか?
窓を閉め切る夏に感染拡大の波が来るのは昨夏に経験済みだけれど、感染爆発とオリンピックが重なってしまったら、どうするつもりなのだろうか?
そういう疑問を多くの人がもっているのに、オリンピックのスポンサーになっている大手テレビ局は、管見の及ぶ限り、オリンピックを称揚する報道はたくさんするものの、批判的な報道をほとんどしない。
ゆ党の要職にあるコメンテーターを出演させて科学的なエビデンスに基づかない空中戦を繰り広げさせたり、現場の状況が報じられなかったりする番組が多くて、最近はもう報道番組を見るのが嫌になった。
もう、悪夢をみているような気がして、頭がクラクラする。
ただし、アスリートのみなさんには何の落ち度もないので、念のため申し添えたい。